ディオンはアモとエクセルの勢いにたじろぎつつも、
少女のことを少し調べてみることにしました。

と言っても、天人達は地上に降り立つことは
なかなか許されてはいません。

そんな彼らが願いを知る方法はいくつかありますが、
最も多く行われる方法があります。

その方法は。

「久しぶりに来たな」

ディオン達がやってきたのは、天人達がカルテアの星の
人々の願いを見ることの出来るティニア(願いの泉)が湧き出る場所。

「随分と久しぶりみたいだね」
「う」
「もっと言ってあげて、アモ!」

どうやらディオンは久しぶりに来たみたいだけど。

「やり方覚えてる?」
「それは覚えてる」

アモに問われ、少し心外そうに答えるディオン。

想いは1つ
願いは君へ

言霊のように唱え、
ディオンは瞳を閉じて
少女の姿を想います。

すると少女マキのことが浮かび上がってきました。

数年前の姿でしょうか。
今より幼いマキが庭で遊んでいます。

その庭の傍らにある花壇を前に腰をかがめて、
土いじりをしている女性がいます。
マキと同じ、碧色の背中まである髪を1つに結び、汗を流しながら
懸命に何かの種を植えたり、土の状態をみたり。

やがて身体を起こし、女性は
ふう、と一息つきました。

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「これじゃ今年もダメね…」

女性は神妙な面持ちをしていましたが、庭で遊んでいる
マキに声をかけました。

「マキ!」
マキは気づき、
「おかあさん!」
と、嬉しそうな顔のまま、母のもとへと駆け寄ります。

「マキー」
マキの母親エルは、着けていたグローブを外し、土いじり用の
用具と共に地面に降ろし、マキを抱き上げました。

きゃっきゃと笑うマキをみて、エルも自然と優しい表情に。

「おかあさん、何してたの?」
「お母さんねー、マキのお父さんが好きな花を育ててるのよ」
「お父さんが好きなお花?」
マキはエルに抱えられたまま、エルの顔を覗き込みます。

「そう、お父さんが好きなお花!勿論お母さんも大好きな花よ!」
「どんなお花!?マキも見てみたい!」
「お母さん、マキにも見せたいなー!
今はまだ咲いてくれないの。
でも必ずマキにも見せてあげるからね!」
「うん!やくそく!」

親子が話していると、お家からおばあさんが出てきました。
「あ!おばあちゃん!あのねあのね!おかあさんがー」
「楽しそうだねマキ」
「うん!」
マキはえへへと笑います。
そんなマキを見てから、おばあさんはエルに話があるようです。
「エルや」
「わかったわ…」
「どうしたの?おかあさん」
「大丈夫よ」
エルはマキの頭を優しく撫でました。

「……マキの願いが何だか、まだ分からないね」
「アモ、静かに」
「ごめん」
そっとアモにささやくエクセルです。

「ディオン集中してるわね…」
さっきのディオンとは違い、真剣な面持ち。

いつもこうだといいのに。
そう思ったエクセルでしたが、言葉は飲み込みました。

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