それ以来、エルは庭に白薔薇を咲かせようと
必死になりました。

しかし戦火で荒れ果てた野に影響され、
来る日も来る日も花は思っても、芽を出すことすらありませんでした。

そうして数年が過ぎ、エルは病に倒れてしまいました。

あれだけ元気だった母が、床にふせるようになっていく姿を
マキはずっとそばで見守っていました。

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ある夜、エルのベッドのそばの椅子に座り、エルを看病していたマキは
思い立ったように、立ち上がり、庭へと走りました。

そして、壁に立てかけてあったシャベルを持ち上げ、花壇を壊そうとします。
「こんなのがあるから、おかあさんが苦しむんだ!
お前なんかこうしてやる!」

マキがシャベルを振りかざし、土に突き立てようとしたとき。
そっと後ろからマキの手を優しく握りしめる手がありました。

エルです。

「!おかあさん!
ダメだよ!寝てなくちゃダメ!」
「マキ。マキ」
マキはいったん、振り上げていたシャベルを降ろし、

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母にベッドへ戻るよう懇願します。
そんなマキに、母エルは優しく答えます。
「マキ。お母さんは大丈夫。それより、ごめんね。マキ。
マキがお母さんのことを想ってくれていたのに、お母さん何もしてあげられなくて。
ごめんね、マキ」
エルはマキをそっと抱きしめました。
マキもいつぶりかのその腕の暖かさに、身をあずけました。

「………この花壇が、あるからおかあさんが苦しんでるの…?」
「そうじゃないの。この花壇はね、マキ」
エルはゆっくり、マキの父であるガゼの事を話し始めました。

「お母さんは信じてるのよ。あの人が、逃げたんじゃないことも…。
それだけじゃない。あの人が、戻ってきてくれると。
この花が咲けばきっと…」
「……マキも信じる…。
マキも信じるよ!お母さん…!」

それに花が咲けばきっとおかあさんも元気になるよね…!

マキは母の腕の中、そう信じたのです。

カルテアの星の、夜空を見上げて……。
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「そしてマキが今は花を育てようとしてるってことか…」
「……ディオン」
「母親の命も………間に合わなくなるって思ってるんだな…」
エクセルがディオンを見つめます。
「何か見えたの?ディオン」
「ん?…別に。それより。
この辺りの土地で花を咲かせるのは無理だ」
「でもさ…」
「でも!1つ考えがある」
ニカっと笑うディオンに、エクセルとアモの表情は輝いた。
「それじゃあ!」
「ああ、泉の力を使うのさ」

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