再び夜。

「おかあさん…むにゃ…」
すやすやと、寝息を立てて眠るマキの夢の中。

マキは夢の中でも花壇を手入れしています。

「どうして咲かないの?
早くしないと、おかあさんが!」

焦りの色が色濃く見えるマキ。

そんなマキにディオンは声を掛けました。

「マキ…」
「誰?」
マキは顔を上げ、正面に立つ、赤髪の男の子に気づきました。

「マキ。君の想い、確かに受け取った。
願いを叶えよう」

ディオンはティニア(願いの泉)の水が入った小瓶を差し出します。

マキは驚きながらも、小瓶を受け取りました。

「マキ、これを花壇にまきなさい。
さすれば願い叶うであろう」

そういうと、ディオンの姿はすっと消えていきました。

ガバッとマキはベッドから起き上がります。

「なに?今の…ゆめ?」
でもマキは、手に握りしめている小瓶に気づきました。

「夢じゃない…!」
マキはベッドから素早く抜け出し、
はだしのまま花壇へ。
そして、夢の中で言われたとおりに、
ティニア(願いの泉)の水を花壇にまきました。

すると、一瞬。
土に水がしみこむとき。
虹色の光が放たれました。

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気が付いたら、マキはまたベッドで眠っていました。

はっとして、すぐさま庭の花壇へ。

そこには、芽を出し、1つの白薔薇が咲いていたのです。

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「……………!!!」
マキは言葉にならない言葉で、涙ぐみ
「おかあさん!おかあさん!」
と、母のもとへと走っていきました。

「どうしたの?マキ」
「おかあさん!あのねあのね!
夢に男の子が出てきてね!
あのね…!」
「マキ、落ち着いて。
ちゃんと聞かせて?」
「おかあさん…!あ、あれ?せきは?
せきしてないね!」
「本当。どうしたのかしら」
マキが走っていく姿を見ていたおばあちゃんが、部屋に来ました。

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「天人様かもしれないね」
「天人さま?天人さまってあの願いをかなえてくれる?
じゃあ、あのゆめの中に出てきた男の子が、天人さまなの?」
「マキ?」
「おかあさん、庭へきて!」

思い立ったたマキは、エルを庭へと連れ出しました。

マキと、エルとおばあちゃんは家の外に出ました。

エルは目を見張ります。
白薔薇は1つだけではなく、花壇いっぱいに咲き誇っていたのです。

「ああ…!」
エルはマキを抱きしめました。
強く強く抱きしめました。
「おかあさん、いたい」
マキは少し困ったように、でも笑顔です。

その時、ふっと空に、あの夢で見た男の子の姿が見えた気がしたマキ。
「ありがとう、天人さま。ありがとう!」

そうマキは空に向かって言いました。

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「良かったー!ね!アモ!」
エクセルはアモの手をとり、くるくる回っています。
「あはは!」
アモは1つ疑問に思っていたことを口にしました。
「ねえディオン?」
「何だよ?」
「エルの事、何が見えたの?」
「本当だ!何か見えたの?」
「別に。大したことじゃないさ」
ディオンは優しげに言いました。
「何だあ。ディオンの先読みの力も大したことないね」
「ふふ」
「何だよ、2人して!そんな事言わなくてもいいだろ」

ディオンが見た光景とは。
エルの尽きかけた命のコト。
でもきっとエルの命は無事でしょう。

運命を変えるのも、たまにはいいだろう。

そんな風にディオンは思っているのかもしれません。

                       ~第1章 白薔薇への願い end~

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