早朝。

ソフィアの泊まっている部屋の扉がノックされた。

レックスが王都に行ってきっかり2日後の事だ。

ソフィアは剣を携え、そっと扉の前に立った。

「誰だ?」
「私だよ、ソフィア」
「レックス!」

ソフィアはまだ下着のままだったので、急いで上着だけ着て扉を開けた。

するとレックスが勢いよく抱きしめてくる。

「ちょっと!レックス!」
「ソフィア!聞いてくれ!凄い事だよ!」
「何なの?」

ソフィアは興奮しているレックスを落ち着かせようとした。

が、なすすべもなくレックスは力強く抱きしめてくる。

「んーっ!ソフィア!」
「一体どうしたのよ?書簡はどうだったの?」
「その事さ!」

ようやくソフィアを開放したレックスは、続けた。

「カルテアの君、じきじきのお返事を賜ってきたよ!」
「!!」

ソフィアは目を見開いた。

「本当!?凄いわレックス!」

ソフィアは鳥肌が立って、レックスの手を握った。

「ふふーん。さすが私だろう?」
「本当よ!さすがはカルテアの君だわ!」
「あら?」

のけぞっていたレックスだが調子を崩されてしまった。

ソフィアはレックスに返事を手渡すように、促した。

「あーらら、ソフィアは頑張った私に礼はないのね?」
「そんなことないわ!凄く感謝しているし、感激もしているの」
「感激?」
「そうよ、さすがはカルテアの君。いち兵士の戯言ととらえはされなかった!」
「ソフィア…」
「ふふ、もちろんレックスには感謝してもしきれないわ!」

それを聞いてレックスはにんまりと笑い、カルテアの君からの書簡をソフィアに手渡した。

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「レックスありがとう」
「いいんだよ。前にも言ったでしょ?ソフィアのそんな顔が見れただけで充分よ。
さあ、早くバーバラに届けるんだね」
「ええ!」

そう言いながら、いつでも宿を出れる状態だった荷を持ち、手早く身支度を整えた。

_________

「ありがとう!レックス!」
宿を出たソフィアは、ファイゼン城へと戻る前に、振り返ってレックスに手を振った。
レックスも大きく手を振り返した。

ソフィアの後ろ姿が小さくなるまで見守っていたレックスは、妙な気配に気づいた。

「何だろね。コソコソと……溝ネズミがいるみたいだ」

レックスは辺りをうかがったが、正体を現しそうにないそれに妙な胸騒ぎを覚え。

_________

「レックス!」
「ハーイ!ソフィア!歩くより馬の方が早いよ!乗ってくかい?」
「あなたって…」

レックスが差し伸べた手を取り、ソフィアは馬に跨った。

2人は馬に乗り、ファイゼン城へと急いだ。

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「ファイゼン城か……」
「そうでさ、頭。山岳の城。俺たちのねぐらにするには丁度いいでさ」
「ゾイ、この役立たずの魔法使い。偶にはいい発見をするじゃねぇか」
「ギルイ盗賊団の根城には持って来いだ」
「だがあの女。ソフィアとか言う…。騎士だそうだな」

十数名の男達が、話ているのはファイゼン城へと向かう途中の道から離れた山間だ。
身を潜めてはいるが、頭と呼ばれるギルイという男はその中でも眼の鋭さが違っていた。

「あの城には、今は騎士崩れ達がいるようだな」
「騎士がなんだってんだ、頭ァ!」
「いや、侮らない方がいい。ここは夜明けを待つ…全員準備を怠るなよ」
『へいッ!』

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「ちょっと、ディオン…」
「言ったろ?荒療治になるかもって」
カルテアの星の空の上、心配そうに見つめるエクセルをしり目に、ディオンは平然とした顔を浮かべていた。

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