「着いたよ!」
「ありがとう、レックス!」
「いいってこと。それより早くバーバラのところへ。きっとビックリするよ」
ソフィアはにこっと笑みを見せ、バーバラのところへ急いだ。
その少し後ろをレックスはついていった。

「相変わらず、ここは埃っぽいね」
「ちゃんと掃除はしているのよ?」
レックスは城内に入って呟いた。ソフィアも仕方ないわといった感じか。

「お帰り、ソフィア」
「ただいま」
「ソフィア、どこへ行っていたの?あら、レックスじゃない!」
「久しぶりだね~みんな」
ファイゼン城のみなもソフィアの帰りを待ってくれていたようだ。

「ねえ、バーバラの様子はどう?」
「ダメ。変わらないわ…」
「そう、分かったわ!」

ソフィアはより一層決意を固めた。

バーバラの部屋まで来た。
少し深呼吸をしよう。ソフィアはそう思って息を吸った。
「何してんの?早く行きなよ!」
そうしようと思ったが、レックスに背中を勢いよく押され、ノックもせずにバーバラの部屋へと入り込んだ。

「………」
「バ、バーバラ!ごきげんよう!」
「………」
ゴホン!とソフィアの横で合図するレックス。
「バーバラ。聞いてちょうだい。私、あなたの悩みを知っているわ。
あなたが思い悩んでいること。でも、悩んでるだけでは解決しないのよ。
だから私…」
ソフィアは意を決した。
「だから私、カルテアの君へ書簡を送ったわ!」
「………!」
「このレックスが届けてくれたのよ!そして、ほら!お返事もちゃんとくださったのよ!
バーバラ!読んでちょうだい!」
「………ソフィア…」
バーバラはやっと振り向いて、ソフィアを見つめた。

バーバラはソフィアへとゆっくり近づいた。
「どうして…どうしてそんなことするの…?」
「バーバラ、私はあなたを…」
「やめて。あなたには分からないわ…」
「ちょっとバーバラ!そんな言い方ないだろ!?ソフィアは」
「レックス!」
ソフィアは熱くなったレックスを止めた。
「いいの、レックス……。バーバラ、書簡はあなたのものよ。ここへ置いておくわね…」
「………」
「行きましょうレックス」
「ふん、お世話様…」
ソフィアは書簡をテーブルに置いて、レックスと共にバーバラの部屋を出た。
レックスは何かまだ言いたげだったが、そのままソフィアに従った。

バーバラは何も答えない。

「あーあ。せっかくソフィアが…」
「いいのよレックス。私が何かしたかっただけなのよ。それより、ここまで付いてきてくれてありがとう、レックス」
「いや、私はね。ちょっと他にも気になることがあるんだ…」
「?」
「いいんだ、それより今夜は泊ってもいいかい?」
「勿論よ」
「やったね、ねえ部屋は一緒がいいかな」
「ちゃんと寝室を用意するから大丈夫よ。何たってここは広いんですから」
「部屋を余らせてるってわけかい」
ソフィアの見せた笑顔に、少なからずレックスは満足しファイゼン城に泊まっていくことにした。

「ふーん、いい部屋じゃない。ここを余らせてるなんてなんだか勿体ないね」
「そうなのよ」
そう言いながら、ソフィアは花瓶に花を生けた。
「ふふ、ありがとうソフィア。でも」
「でも?」
「今夜は用心して?いいね?」
「何だかよくわからないけど…おやすみなさいレックス」
「おやすみソフィア」
レックスは手をひらひらと振った。

(さあて、何がでるかな?)

_______

夜明け前、バーバラはずっと考えていた。

(ソフィア……どうしてなの?)
バーバラはゆっくり椅子から立ち上がり、テーブルの書簡に手を伸ばした。

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戸惑いながらも、それに触れ、そっと胸に抱きしめた。

(私の事を思ってしてくれたのね…ソフィア…)

刹那。

ドオオン!!

「な、何だ!?」
「何事!?」
城を警備していたものが、兵士達の部屋へと大声で叫んだ!
「敵襲!みなのもっ…!」
「おっと、静かにしていなお譲ちゃん」
「ぐっ!」
ギルイは女騎士の腹を一撃し、黙らせた。
「頭ァ!」
「ヤッカム!アゼ!お前らは、中の連中を捉えろ!」
「へいっ!」
ギルイ盗賊団は、城壁に魔法で穴をあけ、敷地内に入った。

女騎士達も、外に出た。

「貴様ら!勝手に我らの城にっ!」
言うが、遅い。
ギルイは短刀を素早く抜き去り、剣を押しやった。
「お前ら!なるべく傷つけるなよ!これは価値がある!」
「ははっ!違えねえ!」
「貴様ら!」
辺りで白兵戦が繰り広げられた。

女騎士達は戦うが、長く戦から離れていたせいか、力が出し切れなかった。

一方ギルイ盗賊団は戦い慣れしていた。

________

「ソフィア!」
「レックス!」
ソフィアとレックスは城内で落ち合った。
「私が出る!レックスはバーバラをお願い!」
「分かった!気をつけるんだよ!」
ソフィアは城を駆け抜け外に出た。

_______

「お前!」
「へへっ、こいつは美人の姉さん」
魔法使いゾイは、ギルイの傍にいた。

ソフィアはこの、小男ゾイと出会った事を思い出した
(このありさまは私のせいか…っ!)

「私はソフィア!貴様、賊の頭とみた!即刻立ち去れ!」
「それは出来ないね。俺達はこの城が気にいったんだ。ここをねぐらにさせてもらう」
「ふざけたことを…!」
「俺と戦うかい?姉さん」
「むろんの事っ!」

ソフィアは剣を抜き、一撃を放った。しかしギルイはそれを素早くかわし、短刀で斬りつける。
ソフィアもそれは身を引いて逃れた。そしてすぐさまもう一刀。ギルイはそれは逃げずに刃で受け止め、逆にソフィアのバランスを崩した。
そのまま踏み込みソフィアの足を足で払い、倒れた隙に蹴りを入れた。

「ぐっ…!」

さらに、剣をもった手を後ろ手に捻りそしてそのまま肩を外した。

「あああっ………!」

ソフィアは痛みに悶えた。

「分かったろ?お嬢さん。抵抗しなければそれ以上は痛い思いをしないですむ。さあ、城を明け渡してくれないか?」

「………っ」
(バーバラ………っ!)

________

「バーバラ!」
レックスは勢いよくバーバラの部屋の扉を開けた。

バーバラは突っ立っている。

「……バーバラ?何をしてるんだ…。今大変な……」

「ふふ…」

「バーバラ?」

「バカね。私……叶うはずもないのに」

「バーバラ今は…」

「カルテアの君の心に私はいない………」

「それは」

「でもそれは仕方のない事………そうなのよ……」

バーバラの手には一通の紙が。カルテアの君からの手紙があった。

「それをソフィアがちゃんと教えてくれたの……。それなのに、私、私、みなを…」

「バーバラ…」

ふっとバーバラのくすんでいた瞳に光が戻った。

そして立てかけていた斧を手にした。

「バーバラ!」

「ソフィア、今行くわ!」

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