女騎士達はギルイ盗賊団に押されていた。

どうやらただの盗賊風情とは一味違うようだ。

バーバラは駆けた。

ソフィアがいる中庭へと。

途中、ギルイ盗賊団と戦う女騎士達もバーバラの姿を目にした。

「バーバラ様!」

「戦え!兵士達よ!そのような下賤な者どもに、我らの本当の強さを見せつけてやれ!」

「バーバラ様!!」

女騎士達は震えたった。

「なんだこいつら!?急に強く…!?」

さらに速度を速め、バーバラはソフィアの元へと駆けた。

_________

「お嬢さん。いい子だから、この城、明け渡してくれねえか?」
「ううっ…」

ソフィアはまだ、地面で苦しそうにしている。

ギルイはそのソフィアの喉元に切っ先を向けた。

「やめろっ!」

ひときわ大きい声がその場に放たれた。

「これは、これは。あんたが大将だな?」
ギルイは、短刀を下ろして、ソフィアを見た。

「貴様らのこの城での振る舞い。
このバーバラ・アデルフォス、断じて許さん」

「許さなかったら、どうするんだい?」
ギルイはなおも余裕を浮かべている。
ゾイは少し小さくなり、ギルイの後ろへと下がった。

「貴様ら一人残らず。我らが捕らえる!」

バーバラは斧を構えた。

自分より数倍の重さを誇る、アーシェント製の斧は、このトラトム山岳地帯の地中深くにある、アーシェントという鉱石を打ち付けて造られた。
その頑丈さに加え、その重さを誇り、並みの男でさへ持ち上げられるかどうか。
しかし、バーバラは表情1つ変えずに、その斧を構えている。

その姿を見たギルイは、久しぶりの強敵に、自分でも思いもよらない気持ちがよぎり、正面から戦ってみたくなった。

ギルイも短刀をしまい、剣を抜いた。

先に動いたのはギルイだった。

その素早い身のこなしから、剣を横に切りつけ小手を狙った。
バーバラは斧を縦にもちその剣先をかわし、そのまま空へと上げた。
ギルイの刃はそのまま空へ向けられたが、剣は離さず、持ちこたえた。
その隙をついて、バーバラは右から回転をかけ斧を素早く持ち替え、ギルイの胴を払った。

「ぐっ…!」

ギルイは防具をつけていたが、その防具は裂けた。皮膚を少し切ったが、内部に衝撃が走った。
息をするのも難しく、片膝をついた。

バーバラは今度は斧をそのギルイの喉に突き付けた。

ギルイは息を飲んだ。

「へっ……。負けたよ……」

観念したようだった。

そんなギルイを見ていた、部下の盗賊達は、頭が負けたと狼狽えた。

女騎士達はその機を逃すわけもなく。

ギルイ盗賊団を縛り上げ、中庭へと集めた。

そして。

「ソフィア!」
「……バーバラ…うっ」

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「ソフィア、大丈夫よ。今治してあげる」
荒療治だが、バーバラはグッとソフィアの肩を治した。
ソフィアはその痛みに耐えた。

「バーバラ…」
「すまない。私のせいで……。すまないみんな!私のせいで長く迷惑をかけてしまった…」

「バーバラ様…!」
「いいんです…!バーバラ様!!」

中庭へ集まっていた女騎士達も、バーバラが正気を取り戻したことを心から喜んだ。

「さて…」

残されたギルイ盗賊団をどうするかだ………。

レックスもその場にやって来ていた。

「……ギルイと言ったな」
「ああ。煮るなり焼くなり好きにするといい」
「いさぎいいな」

バーバラはフッと目を閉じた。

「貴様、天人を信じるか?」
「何だって?」
「どうだ?」
ギルイはこの期に及んでなんのことだと言わんばかりだが、バーバラが真剣なのを見て正直に答えた。

「信じる、と言いたいところだが。どうだろうな。こんな荒れた野になってしまってはな…」
「ふ…」
「だが、昔は信じてたぜ。バカみたいに願い事もしたもんさ」
「そうか…」

バーバラは言った。

「この者たち、この城の下働きに使う」
「なに…!?」

驚いたのはギルイ盗賊団だ。

女騎士達は、少しざわつきはしたものの、バーバラの意に従うだけだった。
正気に戻ったバーバラなら…。

「ははっ、これはいいね!この城、埃だらけだし。正直そいつらに掃除が出来るとは思えないけど」
レックスは言った。

「そうね。私も、肩の借りもあるし。よく働いてもらうのもいいかもしれないわね」
ソフィアも同意した。

バーバラはニコッと笑った。

ギルイはその笑顔に、少し見惚れた。

「さあ、どうする?」

「……女騎士様達の下働きね…この俺達が…」
「頭ア~!」
「俺、まだ死にたくねえよ~…」
「ったく。…分かった。皆、あんたらの下につくよ」

ふふっとバーバラは笑った。

_________

こうして、ギルイ盗賊団の縄は解かれ、ファイゼン城での奇妙な生活が始まったのだった。

_________

「ディオンー!」
「何だよ、エクセル」
「これで一安心よね!というか、ディオンの思い過ごしだったんじゃないの?」
「ま。そうかもな」

カルテアの星の空高い雲の上。
天人ディオンも、これで良かったと、安堵した。

              ~第2章~ その一途な思いこそ end~

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