ふんわりと、そよ風がそよぎ、赤い髪を揺らします。
長く伸ばされた髪をみて、その持ち主の男の子、天人ディオンはけっこう伸びたなと、他人事のよう。手入れを怠るときもありますが、短い方がいいか?とは思いません。存外、気に入っているのです。

カルテアの星の雲の上、今日は穏やかに過ごせるでしょうか?

そんな事を思いつつ、カルテアの人々の、願いを叶えるべく、地上の様子を見るのは怠りません。一応、天人としての自覚はあるようです。

ふと、淀んだ空気を察します。

(何だ?)

地上を気にしますが、原因は地上では無さそうです。

(気のせいか?いや、そんなはずは……)

首をかしげるディオンです。

そこへもう1人の天人がやってきました。

(!)

ディオンは気づきます。淀んだ空気が、その彼から来ていることを。

「ディオン」
「よう、アモ」

アモと呼ばれたディオンの親友の男の子は、長い金髪を後ろでおさげにくくり、青い衣服を身につけています。

「ディオン、少しいい?」
「どうしたんだ?」

アモは寝転んでいた身体を起こしたディオンの隣に座りました。ディオンはアモの事を、知っている天人の中では、利発で倫理観の強い友だと思っています。

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「こんなこと。よくないのは分かってるんだ」
「何の話だよ?」

「………東の雲の話さ。天人ファーレルが、まとめている…ね」
「話がよく見えないな」

天人ファーレルとは、天人達でさへ、その姿をめったにみることの出来ない存在、ユナ様の弟の1人だ。
ファーレルは、ディオンがいる雲から東の方角に漂う雲にいる天人を任されている。

「ファーレルが、どうかした?」
「……そのファーレルの側にいる男が、最近ファーレルの位置を狙っているらしくて………」
「馬鹿らしい。この雲の上で、よくそんなことしてられるよ」

ディオンは心底呆れてしまいました。

「でも……」
それでも、アモの危惧していることは分からなくはありませんでした。
(側の男ね………)

声に出して尋ねます。

「その男…本当にそうなのか?」
「うん………兄さんかもしれないんだ…」

カルテアの雲の上、今日は平穏とは、いってくれないみたいです。

「……仕方ないな。様子を観に行くか」
「!…ありがとうディオン!」

アモはようやく笑顔を見せます。
(アモの為だ……。俺らしくないけど、行って見るくらいなら……)

「エクセル…!」
呼ばれて、妖精のエクセルが現れました。

「なあに?ディオン。アモ!おはよう~」
「何だよ、寝てたのか?今日は東の雲に行くぞ」
「本当?あそこに、友達がいるの」
「遊びに行くんじゃないんだぜ?」
そういいつつ、3人は東の雲に向かって行きました。

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